ANAホールディングスは、バーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」を開発・運営する新会社、ANA NEOを設立した。「SKY WHALE」は2022年にもローンチする計画で、100名以上が開発を進める。
”時空を超える旅客機”がコンセプトの「SKY WHALE」は、旅のテーマパーク「Skyパーク」、バーチャルショッピング空間「Skyモール」、未来の街をイメージした「Skyビレッジ」の3つの要素から構成されている。
「Skyパーク」では、最大8人で同時にバーチャル旅行を楽しめる。第1弾は京都を予定しており、その後は国内外の観光地を追加していく。「Skyモール」では、バーチャル空間で買い物やイベントを楽しめ、ANAグループのavatarinが開発するロボット「newme」を使用して実際の店舗などと接続し、オンライン上で接客を受けながら購入できる仕組みも用意。越境ECやマイルによる購入にも対応する。「Skyビレッジ」では、バーチャル空間でのスマートシティの実現を目指し、美容コンサルやエクササイズなどを含む、医療や教育、行政などのサービス展開を予定している。
2025年度の「Skyパーク」の延べ入場者数は5,900万人を想定。3,400万人のANAマイレージクラブ会員のうち600万人、スターアライアンスやビジネスパートナーの顧客基盤の中から4,700万人の獲得を見込んでいる。主なターゲット国は、アジアや欧米など21カ国。日本語や英語のみならず、中国語や韓国語、マレー語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ビルマ語にも対応し、利用者の約8割が外国人となる見通し。一部コンテンツでの利用料やバーチャルアイテムによるアプリ内課金、「Skyモール」への出店料、バーチャル空間での広告スペースの販売などでの収益化を見込み、2025年度までの累計売上高は3,000億円を目指す。
仮想空間には、マイルも使って買い物ができるショッピングモール、アドバイスを受けられる医療サービスなども展開する予定。アプリのダウンロードは無料。3000億円の累計売上目標には、アプリ内の有料サービスによる課金収入、モールの出店料などを含む。スカイホエールは外部にも開放するオープンプラットフォームで、ANA NEOは資本も含めた提携先を募って事業規模を拡大する。ANAは25年度までに非航空事業の年間売上高をコロナ前水準の倍増となる4000億円に引き上げる目標を掲げている。
すでに、ジェーシービー(JCB)やAnyMind Group、トリップアドバイザー、Shopifyなどを事業パートナーとして迎え、オーストリアやカナダ、ハワイ、シンガポール、オーストラリア、タイなどの観光局が後援している。
これとどうしても比較されてしまうのがJTBが70億円で開発したバーチャル・ジャパン・プラットフォームである。画質が初代プレステレベルと酷評であったが目指す会員数は1000万にでANAのよりは少なく謙虚な印象だ。この会員数という数字、彼らはどのように計算して目標を立てているのかは疑問だ。最近話題のTikTokでやっと1000万人なのに対して彼らはこれを仮想空間レベルで超えることができると本当に思っているのだろうか。そもそも旅行の楽しみや感動は実際に行って体感しなければその半分も味わえないことを彼ら(ANAやJTB)は知っているだろう。もし仮に仮想空間で旅行の楽しさを味わえるのであればコロナ禍が終わった後に彼らは本業で苦しむことになるだろう。仮想空間の作品で1番クオリティが高くポピュラーなものの1つがGTA5だ。このゲームでさえ発売されてから10年が経とうとしているがANAとJTBがゲーム作成しようとしているのクオリティはこれらの足元にも及んでいない。たしかにGTA5は有料で比べるにふさわしくないかもしれないが、実際に日本にある仮想空間に模した無料ゲームの方が完成度は高いだろう。いくら仮想空間の世界で勝負しても彼らはここで勝てるわけがないし、勝てたとしてもコロナが終わればその価値は薄れてしまう。旅行事業が苦しいには理解できるが根本的な解決にならない事だけは断言できる。